NOBLE

Autumn Issue, 2018

わたしと東京

今日から変わる「わたし」達へ。

あらすじ

出版社で働く「わたし」は、普段何気なく過ごしていた東京の街並みが、ある日再開発の名の下、随分と様変わりしている事に気付く。新陳代謝を繰り返すように、新しい街へと変貌していく東京。期待感と同時に、馴れ親しんだ景色が消えていってしまうのではないかというノスタルジーにも近い感情が、やがて「わたし」にとっていま何が一番大切な選択なのかを気づかせるきっかけとなる。

今日から変わる「わたし」達へ。

本編ストーリー

わたしは30歳独身。出版社で働いている。都心でありながらもどこか懐かしい、路面電車が走る街に暮らしている。
毎朝起きるとベランダに出て、その日の気分でさっと服を選び、お気に入りの紅茶を飲んでから家を出る。
平日は大抵同じ時間の電車で会社へ通い、スマホでお気に入りのブランドの洋服を見つけては、ついポチッとしてしまうことが最近の悩みだ。
付き合っている彼がいるけれど、最近はどうもすれ違い気味。この先どうなるのかも依然として不透明。
毎日の仕事や友達とも楽しく過ごしてはいるけれど、どこか淡々と大きな出来事もなく過ぎていく日常を、心のどこかで疎ましく思っている。

そんなわたしが最近、仕事帰りや休日にジムへ通うようになった。理由はどこか日常を変えたかったのかもしれない。ビルの上から街を一望できるジムの中でも、見晴らしのいい窓際のランニングマシンを走るのがお気に入りだ。ある日、いつものように眼下に行き交う人や車、再開発の名の下に変化していく街の様子をマシンの上から眺めていると、ふとした疑問が湧いてきた。わたしはいったいどこへ向かって走っているのだろう。いったい誰のためにがんばっているのだろう。汗をかき、洗い流し、服を着替える毎日。今日のわたしと明日のわたしとは一体何が違うのだろう。幸せはその先にあるのだろうか。さっぱりと気分転換をするはずのジムで、なんだか逆にモヤモヤとした気分になってしまった。

喉も渇いていたので、帰りにバーに立ち寄った。薄暗い店内には見たこともないボトルがずらりと並んでいる。彼や友達とも来たことのある場所だったけれど、一人で来るには少し勇気が必要だった。お酒の種類のことなどさっぱり分からなかったわたしは、思い切ってそんなモヤモヤとした気分をマスターに伝えると、ちょっぴり元気が出そうな、オレンジ色のカクテルを出してくれた。今まではオーダーも人任せだったので、この日ばかりはその自分で選んだカクテルの味がなぜかとても美味しく感じた。グラスを空け、少し気分も良くなった頃、わたし自身も毎日を過ごす中で、知らず知らずのうちに色々と変化をしていることに気づいた。服の趣味やメイクの仕方、仕事のスキルだって以前とは変わったように、彼に対する気持ちも以前と比べると少し変わり始めていた。

少し酔い覚ましにと店を出て歩き始めると、なんだかいつもより街のネオンが眩しく感じた。ざわざわとした街の喧騒の隙間から、夜通し工事中のビルがいくつも顔を覗かせている。東京の街は今夜も刻々とその表情を変えている最中だ。昔からある横丁やカンカンと鳴る踏切を通り過ぎ、少しだけノスタルジックな気持ちに浸りながら家路へと向かう。街も変わっていくようにわたし自身も変わっていく。大きな街の変化は止められないけれど、自分の未来なら今日から自分で変えられるかもしれない。少し吹っ切れたような気持ちになって線路沿いを歩いていると、そんなわたしを後押しするように路面電車が追い越していった。きっといい未来が待っているはず。わたしにも東京にも。

今日から変わる「わたし」のコーディネート

01

そんなわたしが最近、仕事帰りや休日にジムへ通うようになった。理由はどこか日常を変えたかったのかもしれない。
ビルの上から街を一望できるジムの中でも、見晴らしのいい窓際のランニングマシンを走るのがお気に入りだ。
ある日、いつものように眼下に行き交う人や車、再開発の名の下に変化していく街の様子をマシンの上から眺めていると、
ふとした疑問が湧いてきた。わたしはいったいどこへ向かって走っているのだろう。いったい誰のためにがんばっているのだろう。
汗をかき、洗い流し、服を着替える毎日。今日のわたしと明日のわたしとは一体何が違うのだろう。幸せはその先にあるのだろうか。
さっぱりと気分転換をするはずのジムで、なんだか逆にモヤモヤとした気分になってしまった。

今日から変わる「わたし」のコーディネート

02

喉も渇いていたので、帰りにバーに立ち寄った。薄暗い店内には見たこともないボトルがずらりと並んでいる。
彼や友達とも来たことのある場所だったけれど、一人で来るには少し勇気が必要だった。お酒の種類のことなどさっぱり分からなかったわたしは、
思い切ってそんなモヤモヤとした気分をマスターに伝えると、ちょっぴり元気が出そうな、オレンジ色のカクテルを出してくれた。
今まではオーダーも人任せだったので、この日ばかりはその自分で選んだカクテルの味がなぜかとても美味しく感じた。
グラスを空け、少し気分も良くなった頃、わたし自身も毎日を過ごす中で、知らず知らずのうちに色々と変化をしていることに気づいた。
服の趣味やメイクの仕方、仕事のスキルだって以前とは変わったように、彼に対する気持ちも以前と比べると少し変わり始めていた。

少し酔い覚ましにと店を出て歩き始めると、なんだかいつもより街のネオンが眩しく感じた。
ざわざわとした街の喧騒の隙間から、夜通し工事中のビルがいくつも顔を覗かせている。東京の街は今夜も刻々とその表情を変えている最中だ。
昔からある横丁やカンカンと鳴る踏切を通り過ぎ、少しだけノスタルジックな気持ちに浸りながら家路へと向かう。
街も変わっていくようにわたし自身も変わっていく。大きな街の変化は止められないけれど、自分の未来なら今日から自分で変えられるかもしれない。
少し吹っ切れたような気持ちになって線路沿いを歩いていると、そんなわたしを後押しするように路面電車が追い越していった。
きっといい未来が待っているはず。わたしにも東京にも。

わたしと東京

監督・脚本
内田 佳秀
カメラ・編集
新田 君彦
出演
比留川 游
音楽
小瀬村 晶「Trace」
衣装
NOBLE
川上 薫
ヘアメイク
下永田 亮樹
スペシャルサンクス
BAR TRIAD
B・B・V Ola
世田谷M邸
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